早稲田式速記とは?特徴・独学方法・おすすめ教材まで徹底解説

早稲田式速記とは?特徴・独学方法・おすすめ教材まで徹底解説

「速記」という言葉は聞いたことがあっても、実際にどんな文字でどう学べばいいのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。日本の民間速記法のなかで最も広く普及してきた早稲田式速記は、独学でも習得できる体系的な速記法として知られています。この記事では、早稲田式速記の定義・歴史・特徴から、他の速記法との違い、独学ロードマップ、おすすめ教材、速記技能検定の情報まで徹底的に解説します。これから速記を始めたい方はぜひ最後までお読みください。

目次

早稲田式速記の基礎知識|定義・歴史・名称の由来

早稲田式速記の基礎知識|定義・歴史・名称の由来

速記法にはさまざまな種類がありますが、早稲田式速記は日本の民間速記のなかで最もよく知られた方式です。

まずは基本的な定義と歴史的背景を押さえておきましょう。

早稲田式速記の定義と読み方

早稲田式速記(わせだしきそっき)とは、日本語の音(音節)を専用の速記符号に置き換えることで、話し言葉を高速で書き取れるようにした速記法のひとつです。

速記符号は五十音に対応した簡略化された線や円の組み合わせで構成されており、通常の漢字かな混じり文と比べて筆記量を大幅に削減できるのが最大の特徴です。

読み方は「わせだしきそっき」が正式で、「早稲田速記」「早稲田式」と略して呼ばれることもあります。

速記符号そのものは一般の人には読めない特殊文字ですが、速記後に元の日本語文章に「反訳(はんやく)」する作業を行うことで完全な文章として活用できます。

創案者・川上善次郎と誕生の歴史

早稲田式速記の誕生は、昭和5年(1930年)にさかのぼります。

速記法誕生の起点となったのは、早稲田大学附属第二高等学院2年在学中だった大嶋茸次(のちに畑中と改姓)が昭和3年(1928年)に考案した「単画記音式早稲田速記法」でした。

昭和5年(1930年)、早稲田大学1年生だった畑中茸次が学内で速記研究会を発足させ、その後に1学年下の川口渉(かわぐちわたる)も入会。

川口渉は類いまれな熱心さで頭角をあらわし、複数の方式の長所を取り入れながら改良を重ねました。

そして昭和5年(1930年)3月、複画の熊崎式をベースに丹羽式・毛利式等の長所をとって単画と複画をミックスした折衷型の方式を発表。これが現在の早稲田式速記の原型です。

川口渉は昭和10年(1935年)に早稲田式速記普及会を設置し、同年から通信教育を開始。その後「川口学園」を設立して数十万人規模の学習者を輩出してきました。

なお、初期の考案者として川口渉と並んで大嶋茸次(畑中茸次)の存在があることも、歴史的に重要なポイントです。

「早稲田式」と呼ばれる理由

「早稲田式」の名称は、早稲田大学の速記研究会を拠点として誕生・発展・普及してきたことに由来します。

大嶋茸次が早稲田大学の附属高等学院で着想し、川口渉ら早稲田大学の学生たちが研究会を通じて発展させ、早稲田大学の名を冠した教育機関(川口学園・早稲田速記医療福祉専門学校)を通じて全国に普及させていきました。

日本の主要な速記方式の中で、大学名が直接ついている唯一の方式であり、それだけ早稲田という教育的土台との結びつきが強いことを示しています。

早稲田大学では現在も「邦文速記研究会」というサークルが90年以上の歴史を継承し、早稲田式速記の文化を守り続けています。

早稲田式速記の3つの特徴

早稲田式速記の3つの特徴

早稲田式速記には、他の速記法とは異なる独自の特徴があります。

ここでは特に重要な3つの特徴を詳しく解説します。

特徴①|曲線主体の美しい符号体系

早稲田式速記の符号は、単画(端に円や角のない単純な線)と複画(末尾に円がつく線)を組み合わせた折衷型で構成されています。

基本文字は1:2:4の比率の3つの正円と直線から割り出されており、この割出図から50音すべての符号が導かれています。

線の長さは3種類(短・中・長)あり、長さの違いで異なる音を表します。

速記文字を続けて書くと、力の入れ方・抜き方・次の線との結び方(運筆法)が連動して、流れるような美しい線となります。

創始者の川口渉は「速記文字は美術的要素を持った芸術的速記文字であるべきだ」と述べており、書道に通じる美しさを持つ点が早稲田式の大きな魅力の一つです。

また、イ・ウ・エ列の文字(ア行を除く)は線の末尾に円がつくため、シャープペンシルがスムーズに次の文字へと移行でき、高速筆記を支援する構造になっています。

特徴②|母音の表記ルールが明確

早稲田式速記では、同じ行(子音グループ)の文字は原則として同じ方向の線で書かれます。

母音(列)による変化のルールは以下のとおりです。

  • ア列:基本形(短い線)
  • オ列:ア列を2倍の長さにした形
  • イ列:ア列に小さな円をつけた形
  • エ列:イ列を2倍の長さにした形
  • ウ列:ア列に大きな円をつけた形

この構成原則により、ア列さえ覚えれば他の列は変形ルールを適用するだけで習得できます。

例外はア行とツ・ユのみであり、これらだけ別途覚える必要があります。

中根式のように一部の文字に加点(点を追加)したり、濃く書く文字があったりする複雑さがなく、ルールが明快なため初学者でも混乱しにくいのが大きな利点です。

特徴③|略字体系が体系的で覚えやすい

早稲田式速記の省略体系(略字体系)は、中根式・丹羽式・荒浪式・毛利式・佃式など複数の速記法の書き方を研究・取り込んで体系化されたものです。

略字は大きく分けて「二音文字(2つの音を1つの符号で表す)」「助詞の省略」「よく使う語の定型省略」の3段階で習得していきます。

たとえば「あ列+い」「え列+い」「前字+ん」「詰まる音『っ』」といった組み合わせパターンが教材で順序立てて説明されており、段階的に積み上げていける構造になっています。

また、「私」「あなた」「彼」「日本」「すなわち」「大変」「こと」「もの」「です」「ます」など、日常会話で高頻度に使われる語句は専用の省略符号が設けられており、習得すると書き取り速度が飛躍的に向上します。

川口渉が掲げた「五大綱領」のひとつに「誰にでも憶え易く書き易く読み易いこと」という目標があり、その精神が省略体系の設計にも反映されています。

早稲田式速記と他の速記法の違い【比較表付き】

早稲田式速記と他の速記法の違い【比較表付き】

日本の主要速記法には早稲田式のほかに中根式・V式・衆議院式・参議院式などがあります。

それぞれどのような違いがあるのかを把握しておくことで、自分に合った速記法を選びやすくなります。

早稲田式 vs 中根式|どちらを選ぶべき?

早稲田式は行別(子音別)に同じ方向の線を使う構成原則が明快で、初学者でも体系的に学びやすいのが特徴です。

線の長さは3種類で、末尾に円がつく文字(イ・ウ・エ列)があり、濃く書く文字や加点をつける文字はありません。

中根式は高校の速記部や大学速記部で広く使われており、指導者が身近にいる環境では学びやすい方式です。

線の長さは2種類とシンプルですが、ク・ニ・ネ・ミ・メ・ユ・リ・レ・ワなど複数の文字を濃く書く必要があり、ウ・ス・ヌ・ム・ルには加点(点を追加)が必要です。

  • 独学に少し不安がある・分かりやすい符号を学びたい→早稲田式がおすすめ
  • 周囲に中根式速記者がいる・歴史ある方式を学びたい→中根式がおすすめ

どちらの方式も速記技能検定に対応しており、どちらを選んでも資格取得を目指せます。

早稲田式 vs 衆議院式・参議院式

衆議院式・参議院式は、国会の速記者養成所に入所しないと正式に学べない方式として知られています。

衆議院式は線の長さが3種類で小円・半円・馬蹄形の文字を含む複雑な符号体系、参議院式は線の長さ2種類ですが半円・馬蹄形・末尾に円がつく文字が多数あります。

いずれも平成17年度以降は速記者養成所の生徒募集が取りやめになり、現在は一般の学習者が新規に習得することが極めて難しい状況です。

一般の方が速記を習得したい場合は、教材・指導者が充実している早稲田式・中根式・V式から選ぶのが現実的です。

主要速記法の特徴一覧表

以下の表で主要な速記法の特徴を比較できます。

方式 構成原則 線の長さ 濃く書く文字 加点文字 学習難易度 教材入手
早稲田式 行別に同じ方向 3種類 なし なし ★★★☆☆ 容易
中根式 行別(一部例外) 2種類 あり(9文字) あり(5文字) ★★☆☆☆ やや少
V式 列別に同じ方向 3種類 なし なし ★★★☆☆ 容易
衆議院式 特になし 3種類 なし なし ★★★★★ 入手困難
参議院式 特になし 2種類 なし なし ★★★★★ 入手困難

早稲田式速記の独学ロードマップ【5ステップ】

早稲田式速記の独学ロードマップ【5ステップ】

早稲田式速記を独学で習得するには、段階的なステップを踏むことが大切です。

以下の5ステップに沿って学習を進めると、効率よくスキルを積み上げることができます。

ステップ1|基本符号50音をマスターする(2週間)

最初の2週間は五十音の基本速記符号を暗記することに集中します。

早稲田式の基本文字は「行別に同じ方向」という構成原則があるため、各行の基本形(ア列)を覚えれば、列変化のルール(線を伸ばす・円をつける)を適用するだけで他の列も導けます。

  1. まずア行・ワ行・カ行の符号を書いて覚える
  2. 構成原則(ア列基本形→他列は変形ルール適用)を理解する
  3. ナ行・サ行・ハ行・マ行・ラ行・ヤ行・タ行と順番に進める
  4. 変規文字(サ行・タ行の逆方向)を別途練習する

学習には専用の「原文帳」(速記用縦罫ノート)とシャープペンシルを使います。一般的には「プレスマン」などの速記専用シャープペンシルが推奨されており、芯が折れにくく連続筆記に向いています。

1日30分の練習で2週間あれば基本50音は書けるようになります。焦らず、形の正確さを優先して練習することがポイントです。

ステップ2|単音から連綴へ進む(3週間)

基本50音を覚えたら、文字を続けて書く「連綴(れんてつ)」の練習に移ります。

単音を個別に書くだけでなく、音の流れに沿って一筆で書き続ける技術を身につけることが、速記スピードを上げる核心です。

  • 助詞「に」「を」「の」「も」「て」「と」などの簡略法を覚える
  • 濁音・長音・拗音・詰まる音の書き方を習得する
  • 二音文字(2音を1符号で表す)の基本パターンを練習する

この段階では、教材に掲載されている短い例文を速記符号で書き写す「模写練習」が有効です。

1日30〜45分の練習を3週間続けると、簡単な短文であれば速記文字で書き取れるようになってきます。

ステップ3|略字を導入する(4週間)

単音・連綴がある程度身についたら、省略文字(略字)の習得に進みます。

略字とは頻出の語句や語尾を特定の省略符号で書き取るものです。早稲田式速記の教材では以下の順序で導入されます。

  1. 「私」「あなた」「彼」「それ」「これ」などの代名詞の省略形
  2. 「日本」「すなわち」「大変」などの高頻度名詞・副詞
  3. 「こと」「もの」「する・すれば」などの機能語
  4. 「です」「のです」「ます」「ある」などの語尾・助動詞
  5. 「ない」など打ち消し表現の省略

略字を習得すると書き取り量が一気に減り、書き取り速度が20〜30%向上するとも言われています。

まず日常的によく使う省略形から優先的に覚え、使える略字を少しずつ増やしていく方法が効率的です。

ステップ4|聴写トレーニングを始める

符号・連綴・略字の基礎が固まってきたら、「聴写(ちょうしゃ)」トレーニングを開始します。

聴写とは音声を聞きながらリアルタイムで速記する練習で、速記の実用スキルを磨く上で最も重要なトレーニング方法です。

  • 最初は分速80字(6級レベル)の遅い音声から始める
  • 公式テキストの音声副教材(インターネットストリーミング提供)を活用する
  • YouTubeの速記練習動画を利用する
  • 慣れてきたら徐々に速度を上げていく(分速120字→180字→240字)

聴写は「聞く」「判断する」「書く」という複数の処理を同時に行うため、最初はうまくいかなくても心配は不要です。

同じ音声を繰り返し練習することで、符号がスムーズに出てくるようになります。1日20〜30分の聴写練習を継続することが上達の近道です。

ステップ5|反訳で精度を高める

速記した文字を元の日本語文章に戻す作業を「反訳(はんやく)」といいます。

速記技能検定では聴写で書いた速記文を反訳して原稿用紙に書き起こす作業が求められるため、反訳力の向上は検定合格の鍵です。

  • 書いた速記をその日のうちに反訳する習慣をつける
  • 反訳時に元の文章と照らし合わせ、誤りがあった箇所の符号を確認する
  • 漢字・送り仮名・現代仮名遣いを正確に書く練習も同時に行う
  • 反訳時間を意識し、検定の制限時間(6級・5級は60分)内で完了できるよう練習する

反訳は「書いた速記を読む力」を鍛えるとともに、自分の符号が正確に書けているかを確認するフィードバック作業でもあります。

聴写→反訳→照合のサイクルを繰り返すことが、速記精度を高める最も効果的な方法です。

早稲田式速記の習得期間と難易度の目安

早稲田式速記の習得期間と難易度の目安

速記を学び始める前に「どれくらいで使えるようになるのか」を把握しておくと、学習計画が立てやすくなります。

レベル別の習得期間一覧

以下は早稲田大学邦文速記研究会での指導実績や検定受験者の声をもとにした、おおよその習得期間の目安です。

目標レベル 分速目安 習得期間の目安(毎日30分練習)
五十音を書ける 1〜2週間
6級合格(個人利用) 分速80字 2〜3ヶ月
5級合格(ノート・メモ活用) 分速120字 4〜6ヶ月
4級合格(事務利用) 分速180字 6ヶ月〜1年
3級合格(電話・口述速記) 分速240字 1〜2年
2級合格(専門補佐) 分速280字 2〜3年
1級合格(速記士) 分速320字 3〜5年以上

早稲田大学速記サークルで週3回90分の練習を行った場合、約2ヶ月で聴写練習が始められるレベルに到達できるとされています。

競技レベルの分速180字に達するには、練習を継続して約2年程度かかることが多いようです。

独学と講座受講の違い

早稲田式速記は独学でも十分に習得できる方式ですが、独学と講座受講にはそれぞれ長所・短所があります。

  • 独学のメリット:費用が安い、自分のペースで進められる、場所・時間を選ばない
  • 独学のデメリット:自分の符号が正しいか確認しにくい、モチベーション維持が難しい、つまずき箇所で停滞しやすい
  • 講座受講のメリット:専門家による添削・フィードバックを受けられる、仲間がいてモチベーションを維持しやすい
  • 講座受講のデメリット:費用がかかる、通学・スケジュール調整が必要

独学の場合でも、定期的に速記有資格者に符号をチェックしてもらう機会を作ると上達が早まります。

速記技能検定を目指す方は、初期段階でのみ通信講座や勉強会を活用し、基礎を固めてから独学に移行するハイブリッド方式も効果的です。

早稲田式速記でつまずきやすいポイントと対策

早稲田式速記でつまずきやすいポイントと対策

独学で早稲田式速記を学ぶ際、多くの学習者が共通してつまずくポイントがあります。

事前に対策を知っておくことで、スムーズに乗り越えることができます。

符号の形が似ていて混乱する

早稲田式速記では、線の長さ(短・中・長)と末尾の円の有無で異なる音を区別します。

初学者が特に混乱しやすいのは「短い線+円なし」「長い線+円なし」「短い線+小円」「短い線+大円」の区別です。

対策として、以下の方法が効果的です。

  • 各文字を単体で何度も書いて筋肉記憶を作る(1日50回ずつ書く練習)
  • 行ごとに5音を横並びに書いて比較する「行練習」を行う
  • 混乱しやすいペア(例:カ・コ、キ・ケ)を意識的に比較練習する
  • 符号表を手書きで作成し、毎日眺める習慣をつける

同じ行の5音を一連で書く練習を繰り返すことで、行ごとの方向感覚が身につき、混乱が少なくなります。

書くスピードが上がらない

符号は覚えたのに書き取り速度がなかなか上がらないのは、多くの学習者が経験する壁です。

スピードが上がらない主な原因は、①符号を書く際に一文字ずつ考えてしまう、②連綴(文字のつなぎ方)が習慣化していない、③略字の使用が少ない、の3つです。

  • 対策①:同じ短文を何度も書いて、考えなくても手が動くようにする「定文練習」を行う
  • 対策②:意識的に文字を止めずに書き続ける練習(ゆっくりでもいいので途切れさせない)を行う
  • 対策③:使える略字の数を着実に増やし、積極的に使う習慣をつける

速度は一定期間伸び悩んだ後に突然上がることが多いため、焦らず継続することが最大の対策です。

モチベーションが続かない

速記の習得には数ヶ月以上の継続練習が必要なため、途中でモチベーションが下がることは珍しくありません。

  • 短期目標を設定する:「1ヶ月後に6級の速度で50音を書けるようになる」など具体的な目標を立てる
  • 検定に申し込む:試験日が決まると練習に緊張感が生まれ、継続しやすくなる
  • 速記コミュニティに参加する:オンラインでも速記愛好者のグループがあり、仲間の存在がモチベーション維持につながる
  • 記録をつける:毎日の練習時間や書き取り速度を記録すると成長が可視化されて継続しやすい

速記は習得に時間がかかりますが、一度身につけると生涯使えるスキルです。長期的な視点で取り組みましょう。

早稲田式速記のおすすめ教材・本3選

早稲田式速記のおすすめ教材・本3選

早稲田式速記を学ぶための教材を3つ紹介します。

目的や予算に合わせて選んでください。

『早稲田式速記講座』(公式テキスト)

【早稲田式速記法テキスト】(早稲田速記株式会社発行)は、長らく早稲田式速記教育を担ってきた川口学園「早稲田速記講座」通信教育テキストを、速記技能検定1級速記士が監修・再編集した公式教材です。

現在は全12巻構成で、入門編3巻が発売中(初級編以降は順次発売予定)。

  • 入門編第1巻:2,500円(シャープペンシル・原文帳試供品付き)
  • 入門編第2巻:2,500円
  • 入門編第3巻:2,500円
  • 入門編3冊セット:7,000円(割引あり)

入門編3冊を習得すると、速記技能検定6・5級の取得が可能なレベルに達します。

各巻に対応する音声副教材(1,000円)も別途販売されており、テキスト内の練習問題を読み上げた音声でリアルな聴写練習ができます(利用期限:購入後90日のストリーミング形式)。

現状では純正の早稲田式速記を系統立てて学べる唯一の有料テキストとして、独学者に強くおすすめです。

『独習 早稲田式速記』(独学者向け)

早稲田大学邦文速記研究会「速記サブテキスト」は、約100年の歴史を持つ早大速記研究会が独自に開発した入門者向けテキストで、無料でオンライン入手できます(BOOTHにて公開)。

同研究会の指導でも実際に使用されており、基本文字から簡単な省略まで学ぶことができます。

このサブテキストを使った学習で速記技能検定5級(分速120字)程度を目指せます。

公式テキストとは細部で異なる点もありますが(速研式と呼称されることもある)、初学者の入門としては十分な内容です。

有料テキストを購入する前に、まずこちらで速記学習が自分に合っているかを確認するのも良いでしょう。

無料で使えるオンラインリソース

費用をかけずに早稲田式速記を学べる無料のオンラインリソースも活用しましょう。

  • 琴葉姉妹の早稲田式速記講座(YouTube):早稲田大学邦文速記研究会OBが制作したYouTube解説シリーズ。基本文字の書き方を視覚的・コミカルに解説しており、文字の細かな特徴まで丁寧に説明されています。この動画をきっかけに速記士資格を取得した学習者も多数います。
  • 速記学習TEXT(速記学習者サイト):早稲田式の基本文字100個の表・省略法・練習方法などをまとめた学習支援サイト。無料で閲覧でき、独学者向けに詳しく解説されています。
  • 日本速記協会 PDF文庫:公益社団法人日本速記協会が公開している速記関連の古い資料。歴史的な観点から速記を学びたい方に向いています。

YouTube動画は文字の書き方を動きで確認できるため、テキストだけでは分かりにくい運筆(線を書くときの動きの流れ)を視覚的に学べる点で特に有用です。

早稲田式速記で速記技能検定を目指すなら

早稲田式速記で速記技能検定を目指すなら

速記技能検定は公益社団法人日本速記協会が主催する、速記の知識・技能を証明する唯一の公的検定です。

早稲田式速記を学んでいる方のほとんどがこの検定を学習目標に設定しています。

速記技能検定の概要と級別難易度

速記技能検定は1〜6級まであり、年4回(2月・5月・8月・11月の最終日曜日)実施されます。

試験内容は「5分または10分間の朗読音声を速記し、制限時間内に反訳原稿を作成する」というもので、使用する速記方式は問われません(早稲田式・中根式・V式など何式でも受験可能)。

分速 朗読時間 総字数 反訳時間 正確度 受験料
6級 80字 5分 400字 60分 96%以上 2,000円
5級 120字 5分 600字 60分 96%以上 2,500円
4級 180字 5分 900字 60分 97%以上 3,000円
3級 240字 5分 1,200字 60分 97%以上 4,000円
2級 280字 10分 2,800字 130分 98%以上 5,000円
1級 320字 10分 3,200字 130分 98%以上 6,000円

合格率は6級が約85%、5級が約62%と高めですが、1級は約7%程度と難関です(なお2級の合格率が約25%とされています)。

1・2級合格者は「速記士」として認定され、速記士証書・速記士証が交付されます。

初心者が最初に目指すべき級

速記を始めたばかりの方は、まず6級(分速80字)を最初の目標に設定するのが適切です。

分速80字は「普通文字より速く書けるレベル」で、一般的に2〜3ヶ月の練習で到達できるとされています。

6級に合格したら次は5級(分速120字)を目指します。5級は「ノートやメモに速記を活用できるレベル」で、日常的な用途でも十分実用できます。

4〜6級は辞書等の持ち込みが可能なため、漢字に自信がなくても挑戦しやすいのが特徴です。

3級以上を目指す場合は実務的な活用も視野に入ってきますが、まず6級・5級で速記の基礎を確認することをおすすめします。

検定合格後のキャリア・活用シーン

速記技能検定の合格者は履歴書の「資格」欄に「〇年〇月〇日 第〇回速記技能検定〇級合格」と記載できます。

1・2級の「速記士」の資格を活かした主な活躍の場としては以下があります。

  • 国会・地方議会の議事録作成
  • 裁判所における記録業務
  • 官庁・企業・学術団体の会議記録
  • 速記専門会社への就職・派遣

成績が特に優秀な合格者には文部科学大臣賞が授与されるなど、高い評価を受ける機会もあります。

早稲田式速記は現代でも役立つのか?

早稲田式速記は現代でも役立つのか?

ICレコーダーや音声認識技術が普及した現代において、速記の実用的な価値はどのように変化しているのでしょうか。

デジタル時代における速記の価値

率直に言えば、職業的な速記者の需要は以前と比べて大幅に減少しています。

録音機器が一般的でなかった時代には、国会・裁判所・企業会議での速記者は不可欠な存在でしたが、長時間録音可能なICレコーダーとテープ起こしサービスの普及により、プロ速記者への依存度は低下しました。

一方で、速記そのものの価値がゼロになったわけではありません。

  • 録音が許可されない場での記録:会議・インタビュー・法廷など、録音機器の使用が制限される場面で速記は今でも有効です。
  • 個人の知的スキル:素早くメモを取る能力、脳と手の連携強化、集中力の向上など、認知的なメリットが注目されています。
  • 文化的・歴史的価値:90年以上の歴史を持つ早稲田式速記は日本の知的文化遺産の一つとして、学術的な関心も高まっています。

早稲田大学邦文速記研究会も「実用的ではないが、競技として仲間と切磋琢磨できる」という側面を重視しており、スポーツに近い取り組み方で続けている学習者も多いです。

速記スキルが活きる具体的シーン5選

現代においても早稲田式速記が実際に役立つシーンを5つ紹介します。

  1. 大学・大学院の講義ノート:教授が話す速度に近いペースでメモが取れるため、授業内容を漏れなく記録できます。ただし後で読み返すために反訳時間を確保する必要があります。
  2. 電話・口頭での指示のメモ:電話口で相手が話す内容を素早く書き留めるのに速記が活躍します。分速120〜180字程度の習熟度があれば実用的に使えます。
  3. 会議・セミナーでの個人メモ:発表者の言葉をリアルタイムで記録したい場合、速記はスマートフォン入力よりも静かで目立たない記録手段です。
  4. 日記・個人記録の暗号化:速記で書いた日記は一般の人には読めないため、個人情報を守りながら記録できるという側面もあります。
  5. 競技・趣味としての知的挑戦:速記技能検定や速記競技大会への参加を通じて、集中力・記憶力・書字能力を高める知的スポーツとして楽しめます。

早稲田式速記に関するよくある質問

早稲田式速記は独学で習得できますか?

Q. 早稲田式速記は独学で習得できますか?

A: 十分に独学で習得できます。公式テキストや無料の学習リソース(YouTubeサブテキスト)が整っており、毎日30分の練習を継続すれば、2〜3ヶ月で6級レベルに到達できます。ただし、定期的に自分の符号を速記有資格者にチェックしてもらう機会を設けると、より正確に上達できます。

習得までにどのくらいの期間がかかりますか?

Q. 習得までにどのくらいの期間がかかりますか?

A: 「習得」の定義によります。五十音の符号を覚えるだけなら1〜2週間、日常的なメモに使える5級レベル(分速120字)は4〜6ヶ月、プロレベルの2〜1級は2〜5年以上かかるのが一般的です。毎日の練習量と練習の質によって大きく変わります。

早稲田式と中根式、どちらを学ぶべきですか?

Q. 早稲田式と中根式、どちらを学ぶべきですか?

A: 独学ならば早稲田式がおすすめです。教材が充実しており、符号の構成原則が明快なため初学者でも学びやすい環境が整っています。周囲に中根式を使っている指導者がいる場合は中根式でも問題ありません。どちらの方式でも速記技能検定を受験できます。

速記は仕事に役立ちますか?

Q. 速記は仕事に役立ちますか?

A: 職業専門速記者としての需要は以前より減少していますが、2〜1級の「速記士」資格を持つ方は今でも議会・裁判所・企業会議の記録業務で活躍しています。また3〜5級レベルでも、電話メモ・会議メモ・講義ノートなど個人の仕事効率化に活用できます。履歴書に記載できる資格としての価値もあります。

まとめ|早稲田式速記を始める第一歩

この記事では早稲田式速記について、基礎知識から独学方法・教材・検定情報まで幅広く解説しました。最後にポイントをまとめます。

  • 早稲田式速記は昭和5年(1930年)に川口渉らが早稲田大学で考案した速記法で、民間で最も普及した日本語速記法のひとつ。
  • 行別に同じ方向の線を使う明快な構成原則と体系的な省略体系が特徴で、独学に向いている。
  • 独学5ステップ(①基本50音→②連綴→③略字→④聴写→⑤反訳)を順番に進めることで着実にスキルを積み上げられる。
  • 速記技能検定は6〜1級まであり、初心者はまず6級(分速80字)を目標に設定するのが現実的。
  • 公式テキスト(1巻2,500円)やYouTube無料動画など、学習環境は充実している。

速記は習得に時間がかかりますが、一度身につければ生涯使える知的スキルです。

まずは無料の「琴葉姉妹の早稲田式速記講座(YouTube)」や「速記サブテキスト」で基本符号を体験してみることをおすすめします。

速記の世界に一歩踏み出すことで、文字・言語・記録に対する新たな視点が開けてくるでしょう。

参考:公益社団法人 日本速記協会「速記をこれから始める方へ」

参考:公益社団法人 日本速記協会「速記技能検定 各級のレベル」

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